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大工仕事で腰が痛い 50代 男性 工務店勤務

気になるところ

 

腰痛

 

1)立ち上がる際に痛みを感じる

 

2)鈍い痛みで激痛ではないがNRS7程度(痛みの10段階評価)で日常生活で気になる、痛みを感じる。

 

3)既往歴:肝機能障害、Ⅰ型糖尿病

 

4)職業は大工、現在は集合住宅の階段を制作し細かい作業なのでハンマーで釘を手打ち。

常にヤンキース座りの恰好をしている。

 

5)特に左側に問題を抱える。

 

6)寝ていると楽→職業柄も考え、姿勢からの問題があると考えた。

 

 

 

 

 

 

仮説と検証


1)姿勢評価
矢状面立位
前方頭位で目線はやや天井方向にて顎を上げている
胸椎亀背(猫背)
腰椎過前彎に見える
腰部スウェイバック姿勢
骨盤後傾
股関節・膝関節屈曲外旋

2)前額面
th6(第6胸椎)辺りが盛り上がる
腰椎過前彎に見える


 

 

3)姿勢評価から
胸椎亀背は伸展可動域低下がある→伏臥位(うつ伏せ)になっても自重でフラットにならない。

骨盤後傾は伏臥位では消失→立位姿勢制御の代償行為とみなす

腰椎過前彎は伏臥位でも残存→これも屈曲方向の問題はあると考え、骨か?軟部組織か?その鑑別を前屈運動で行う必要性がある。

 

4)自身で前屈可能か?
確認として、座位・半角座からの自動(自分で)前屈運動を行い評価→90°以上前屈出来ない(発痛)

前屈制限のため今度は他動(セラピストが介助)運動にて腰椎を屈曲→自動前屈運動範囲が45°程度回復し、前屈痛が消失→すぐ結果が出る事から筋性


 

5)代償行為(姿勢制御)と痛み
この腰椎の問題も姿勢制御の一環で、代償的に過伸展を起こしている→つまり筋制御が代償的に過活動を余儀なくする。→伸展筋の代償として脊柱起立筋群を考える。

 

もし起立筋が過緊張にて、抗重力伸展活動(姿勢を正す)事を代償していたら?
胸椎の回旋運動が苦手(+)
頭部の持ち上がり(+)※矢状面姿勢で確認済み


 

6)起立筋での抗重力伸展活動の理由
胸椎亀背からの下向性・上向性運動連鎖にての姿勢、特に骨盤後傾を行うと多裂筋・腸腰筋の同時収縮ができなくなる。

この事で代償的に背筋が過緊張、体幹を重力に歯向かい起こす方法しか無いと結論付ける。

 

7)亀背がトリガーの可能性
他動運動にて術者がクライアント様に背屈を促しても伸展可動域があるのを認めた事からも言え、胸椎が唯一可動域に骨性の問題を抱えている部位。

 

 

 

 

 

 

コンディショニング


1)胸椎伸展エクササイズ

2)腰椎屈曲促通エクササイズ

31-2のホームエクササイズ指導

 

 

 

 

 

備考


腰椎の前屈可動域を増加させると痛みも減少。

 

こういう日常の問題点を繰り返すと、やがて神経症状などへ発展しやすいので見逃せない、たかが姿勢と思われるかも知れないが実は最大に問題点であるのは、人は重力からは逃れられない。

 

 

更に既往の1型糖尿病が疲労回復を遅らせる可能性も否めない。