リンク:運転中に後部座席の物が取れない3 建築業 50代男性 積載車業務
気になるところ
左肩関節周囲炎予後経過とメンテナンス
- 左肩の動作痛が完全になし
- 再発の可能性も無い
- 可動域制限は若干挙上にある
- 今は右肩の可動痛(インピンジメント傾向)が気になる
- 最近左腰(胸腰筋腱膜)辺りのだるさ、車運転中だけに感じる
以上のメンテナンスを以下行う
仮説と検証
1)姿勢評価
前額面
胸郭左回旋
右肩甲骨が胸郭と同調し巻き込んだように見える
右肩甲骨が対側左に対し下方変位
矢状面
前方頭位
胸椎屈曲
腰部スウェィバック姿勢
股関節過伸展
膝軽度屈曲
また来院初回の姿勢に戻っている感じがする
左手でマニュアルシフトレバーで右手でハンドル姿勢、これが胸郭の回旋変位を産みながら「仕事でダンプを運転数姿勢」と運動パターンを記憶している可能性がある。
回旋した胸郭は左腰後面の組織が遠心性収縮し続けるストレスを産み、結果姿勢痛でその時のみの痛みを与えてしまう、仕事をしないでプライベートなどは無痛と言う事からも前述の検証とも言える。
2)動的評価
前屈:(+)屈曲ROM(可動域)制限
進展:(+)腰椎主導にて胸椎・頸椎が伸展同調しにくい
回旋:(+)右回旋出来ない
側屈:(+)左屈が出来ない
動作から
- 胸郭が左回旋
- 胸郭が前屈
- 重心が支持基底面から左斜め前に移動
- 重心位置を戻すために、脊柱起立筋が過作用(特に左側)
- 結果固着した胸椎はそのままで、無理やり股関節や腰椎の伸展ROMをフル活用しスウェィバック姿勢で代償
- それでも重心の後方移動が足りないので、軽度膝屈曲をして更なる代償
上記アライメント変化と肩の問題
- 胸郭左回旋に対し右肩甲骨は追従→右下部肋骨は右外腹斜筋の過緊張から起こし、追従のため筋連結のある右前鋸筋の収縮も強調させて胸郭ー肩甲骨の位置アライメントを若干外転下制にしながら維持している、右外腹斜筋ー筋連結ー右前鋸筋の硬結と圧迫痛あり=過緊張を認めた
- 胸郭と肩甲骨(肩甲胸郭関節)の浮き、俗にいう「天使の羽根状態」になると上腕の自由度を失う、理由として回旋腱板の機能低下になるためかも知れない、結果肩甲上腕関節の動作時不安定性と過負荷からの炎症になりやすい
- 胸郭左回旋に対し左肩甲骨も定常な位置にある
この事からも、右肩甲帯の問題があり胸椎の伸展や回旋変位の修正が今回の一次原因と感じる
ちなみにホームエクササイズにて胸椎伸展しているとの旨を伺う→確認のためエクササイズを行うと、床面へ頭部がつかず一瞬浮いた→エクササイズの効果していないかもしくは、左肩の痛みが減少したのでエクササイズをされていないのか?と考える。
コンディショニング
1)胸椎伸展エクササイズ
2)右胸郭伸展側屈エクササイズ
3)胸式呼吸からの腹部コア強化
備考
ホームエクササイズは痛みが消失しても行うべきと言う検証にもなる
特に肩関節周囲炎は左側の問題から右側へと関連性が高い、理由として胸郭の回旋・屈曲変位が原因となるので、エクササイズを止めると再発したり、違う向きや症状を起こしやすい。
胸郭の変位もお仕事の中で「右手でハンドル左腕はミッションレバー」この姿勢は、胸郭の左回旋変位を呼びやすい要素は十分である。