気になるところ
左右肩の痛み
- 仕事柄スパナで大型ナットの締め付け作業をしている
- 締め付ける際に、腕を内側に入れると肩甲骨から腕が「ぽくっ」と外れそうな感じな不安定感
- 最初は右側→今は左側へ痛みが変化
- 安静夜間痛が7日程度続く
- 夜間痛で目が覚める
- 1年以上前に左肩インピンジメント(腱板を肩峰で挟み込む)痛があり、肩関節周囲炎の来院歴
- その際の痛みは今までも感じなく、今回はROM(可動域)制限は無い
- 但し挙上をして頂くも両側の上腕が外耳孔まで届かず完全挙上は出来ず肘まで曲げて代償
- 左側だけ天使の羽になる(ウインディング:翼状肩甲骨)
上記から問題点を特に主訴が酷い「左側」に絞り問題点を抽出する。
仮説と検証
既往である左肩関節周囲炎の再発?と考え、肩甲帯の問題点を特にあぶりだす
1)姿勢評価
前額面
翼状肩甲骨(左側)※特に立位で顕著、伏臥位にてはややにしか見えないのが特徴
左肩甲骨下方回旋
左胸郭の盛り上がり、対し右胸郭の吸気拡がりが少ない(構造性脊柱側彎症→生まれつき)
胸郭左回旋
左肩甲骨外転下制(胸郭に対しカウンターローテーション)
矢状面
前方頭位
骨盤後傾
股関節と膝関節を軽度屈曲
前額面からやはり左胸郭の浮き上がりが酷く、僧帽筋下部繊維機能低下からの肩甲骨下方回旋とウインディングの原因。
更に立位のみウインディングが酷いところから(伏臥位ではそこまで目立たない)、重力に負けて肩甲骨が下がる肩甲骨を挙上する組織が弱化しているようにも思えた。
脊柱側彎症からの胸郭(肋骨)左右不整列があり、しかしながら今まで腰痛などの機能障害が1度もない事、更には胸椎自体はそこまで側彎していない事も含め、機能性ではなく構造性と考え今回の問題点からは除外
2)動的評価
屈曲:胸椎主導
伸展:腰椎主導
回旋:右回旋制限
伸展制限で頸椎胸椎共に伸展協調出来ない、更に姿勢評価では前方頭位がある事からも上部胸椎の伸展可動域低下と考えた。
他評価
肩甲骨のウインディングと胸郭に対しての安定性評価
スキャプラプレーン位置にてセラピストが上腕内転方向へ力を入れて、その時に肩甲骨の胸郭に対しての安定性評価(+)
加圧した際に肩甲骨下角が胸郭上で動いてしまった。
この事で僧帽筋下部繊維の弱化は明確になる。
その事から、スパナで大型のナットを締め付け作業の際、肩甲胸郭関節の不安定さ(僧帽筋下部繊維筋力低下)を押し殺して、上腕のパワーだけで仕事をこなそうとしている。
作業歴10年以上と、今更感もあるが・・・加齢と長期作業にて徐々にその筋力低下を起こす、そんな作業手順をボディイメージに持ち時間経過いてしまった原因が左肩甲上腕関節の不安定性と痛みの真要因かもしれない。
コンディショニング
1)左胸鎖関節と肩鎖関節の除圧(胸郭に対し肩甲骨アライメントコンプレッション)→左前鋸筋・外腹斜筋リリース
2)胸椎伸展エクササイズ
3)胸式呼吸(呼吸テストの際にお腹の伸縮を利用し呼吸、動作が頭部ー胸郭―腰部の同調動作を行っていた→コア低下を示唆)
4)僧帽筋下部繊維の強化tr
備考
NRS9→4(痛みの10段階評価)
夜間痛がこれ以降も3日間継続するならば、現在でも睡眠障害もあるため専門医へ行くようにアドバイス。
本日以降、好転するならば7日後に経過確認を行うようにした。