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左のお尻が痛い極度の前かがみな高齢者  80代 女性 主婦

気になるところ


左臀部痛(上殿)
トイレ起き上がり困難

 

ご高齢で極度に腰が曲がっている、地面と体幹がほぼ平行になるまでの前かがみ。

 

その原因として、既往の2度圧迫骨折あり、おそらく若かりし頃からの鉄欠乏貧血由来の骨粗鬆症でもろい想定が付き、かつタンス屋さんへ勤務されて重労働だと言う事を伺った。

 

度重なる受傷からの代償で姿勢を正常に保つ抗重力伸展活動が多裂筋と腸腰筋同時収縮、この動きが出来なくなり結果アウターの起立筋が作用と仮説した。

 

 

 

 

 

 

仮説と検証


1)これだけ前かがみ姿勢(骨変性)があると考えたのに、仰向けもうつ伏せも可能で、逆に横向きに寝るのがつらい(腰部側彎症)、腰椎は変形し固着しているにも関わらず、胸椎他股関節は問題なく可動性があると考えた。

 

2)よく見るのは腰椎が動きすぎて胸椎が固着傾向にある、今回の場合はその逆の様だ。

 

3)腰椎後彎の運動連鎖から、骨盤後傾ー股関節屈曲外旋ー膝屈曲外旋ー足関節うちがえし、この事からも起立筋他骨盤―腰部に連結する筋はいつも遠心性収縮を余儀なくされる疲労と痛みが有る。

 

4)問題の左臀部痛の発症条件、これがやはり起きた際に起きて寝ている際にはこれ程感じないと言う条件付け。

 

5)3の運動連鎖から、下肢方向運動など大腿四頭筋歩行が目立ちハムストリングの弱化が特に目立つ、もちろん殿筋もほぼ体幹を支えるだけの筋力もなく、起立筋依存性もかなりある

 

上記から姿勢を出来るだけ抗重力伸展方向へ誘導する、その際の変化を確認することにした、ご高齢と腰椎圧迫骨折の既往から考えると経過観察はこれが精一杯と考える。

 

 

 

 

 

 

コンディショニング

 

1)起立筋へのハンズオン(手技)

2)全身のFasica(筋膜)をハンズオン

3)毎日伏臥位・仰臥位に自宅で15分、畳の上で寝てもらう

 

4)起立着座動作は今後体幹機能回復(可動域)、その後行いたいと考えるが、先ずはご自宅のトイレに手すりをつけて手を使い動作を行えるように指導

 

 

 

 

 

 

備考


実は7日後に経過観察を行う、その際に横向きに寝れるようになり臀部痛も軽減したとの事。

 

2回目経過観察にて、黙っていたが便秘もひどく当院ではL3(第3腰椎)付近の圧迫骨折の既往も認めたので排便・排尿障害も視野に入れる。

 

かつ姿勢もお腹を圧迫する姿勢なので、食事も胃の圧迫もあり沢山食べれない事からも、糞便の形成に不利で大腸にとどまるとさらに水分再吸収が行われ出にくくなる。

 

そのため運動が少なくご高齢でそこへ至らな場合、当院での別途で仰向けのまま腹部を側屈・伸展・屈曲する動きを行いお手伝いをした。

 

更に経過観察を行う。